令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
「たらい回し」のない医療体制
2008年2月5日
「たらい回し」が結構問題になっているわけですが、何かあると訴えられて1億2億という心休まることがない産科医療・救急医療の世知辛さに、医者たちが耐えかねて逃散し続けて絶対的に数が足りないから当たり前なのでございます。
そして遠からずやってくるのが、その「たらい」を回すことすらしてもらえない世の中のようです。たらい回し無き先進国カナダの現状が、産科医療のこれからにアップされました。
カナダでの妊娠生活 カナダで切迫流産してはいけない
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/02/post-1341-3.html
C級★官公庁オークション
2008年1月26日
ヤフーオークションで見つけた、静岡県の出品物
http://s03.megalodon.jp/2008-0126-2339-52/koubai.auctions.yahoo.co.jp/auction/auction?pid=shizuoka&oid=1197613844&aid=i11134679
(↑魚拓)
「ダンスショー用衣装(帽子 ゴールド)」
…
…落札価格は100円…
これって、税金のカタに取り上げられたものなんでしょうか…
それとも、何らかの目的をもって県が購入したものなんでしょうか…
裁判所が拡大に加担した「薬害肝炎」
2008年1月20日
未だ紛争の火がくすぶり続ける、いわゆる「薬害肝炎問題」。実は「被害」の拡大に、だいぶ昔に出た裁判の判決が加担していたようです。
「もっと早く輸血をすること、未然にフィブリノゲンを投与すること」という趣旨で、患者死亡に対する医師の責任を認めた東京地裁判決昭和50年2月13日です。この判決が、日本でのフィブリノゲン濫用につながったとの指摘があります。
確かに、当時の法律雑誌では以下のように評論されています。
「なお、出産に際しての医療事故は多いといわれているが、裁判例となったものは少なく、東京地判昭和48年9月26日、東京地判昭和39年3月29日が参考とされる。」(判例タイムズNo.324,248頁)
「輸血に関する医療過誤の事例としては、(中略)、輸血の時期に関する事例は珍しく、その点からも本判決は先例となるだろう。」(判例時報774号,91頁)
確かに大きく参考にされ、大変な先例になってしまったようです。
ちなみに上記の判例時報には判決の概要が以下のように示されています。
「判旨は、輸血開始時期としては、出血量において1000ミリリットル以上になったとき、あるいは、最高血圧が70mmHg(出血状態が続いている場合は90mmHg)に低下したときが適当とであるが、本件では、午後6時40~50頃の時点で既に合計650ccの出血があり、なおも少量の血液が持続的に流出している状態で、7時25分以降最高血圧が80mmHg、7時50分には同50mmHgとなったのであるから、少なくとも7時25分以降速やかに、以下に遅くとも8時ごろまでには輸血が実施されるべきで、8時50分に開始したことは遅きに失しており、その他に、線溶阻止剤等の投与、新鮮血輸血についての配慮も欠けたと判示している。」(注:「線溶阻止剤等」は、判決文では「線溶阻止剤や線維素原」として線維素原(フィブリノゲン)を併記している。)
また、判例タイムズでは以下のように評されています。
「本件に合っては、結果を回避させるための施術として、時宜にかなった輸血が必要であるとしているが、輸血には、血清肝炎、供給体制等、ひとり医療に限定することのできない大きな社会問題を孕んでいるといえるところ、本判決は、診療当時の産科医学会の関係論文にも配慮し、当時の医学レベルに立返って、詳細な資料に基づいて過失の認定を行っている点極めて慎重な姿勢が窺われる。」
慎重に検討した結果、「薬害肝炎」を拡大する原因になってしまいました。
この判決は高等裁判所で覆され、医師の責任は無いものとされており、結局のところ「薬害肝炎」を拡大するだけの判決ということになってしまいました。
医療では、残念な結果があれば症例検討会で原因を検討するのが慣わしになっています。
司法はどうでしょうか? この判決のように甚大な被害を引き起こした判決を、どうして出してしまったのかを検討したでしょうか?
こういう事情を知ってみると、現役裁判官が書かれているのであろうこれらの文章は、どんなものだろうかと思ってしまいます。
http://blog.goo.ne.jp/j-j-n/d/20071216
http://blog.goo.ne.jp/j-j-n/d/20071223
事件概要はこちらです。http://www.pmet.or.jp/jiko/06yuketu0001.html
判決文はこちらにあります。http://www.orcaland.gr.jp/kaleido/iryosaiban/S44wa1117hanketsubun.html
ご冥福をお祈り申し上げます
2007年12月16日
佐世保共済病院院長、福井仁士先生がお亡くなりになられたとのこと。ご冥福をお祈り申し上げます。
http://kkrsasebo.blog.ocn.ne.jp/blog/2007/12/post_d157.html
福井先生のブログは、昨年、ドイツの医師ストライキの記事を紹介して下さって以来、ブックマークに入れてありました。
http://kkrsasebo.blog.ocn.ne.jp/blog/2006/05/post_4775.html
ドイツの医師のストライキの記事に関するエントリー、僭越ながら以下にコピーさせて頂いておこうとおもいます。福島県の救急病院医師も、そろそろストライキなど考慮すべき時期ではないでしょうか。
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ドイツで大学病院医師ストライキが続いている
私は、本年5月にドイツの学会に参加しました。その際、新聞やテレビでドイツの大学病院医師のストライキが9週以上続いていることを知りました。下に示したのは、5月13日のドイツの新聞の第1面の記事です。ドイツの新聞には掲載されているのに、このことについて日本ではまったく報道されていません。そこで、現地で友人のドイツ人医師から聞いたことを含めて私が知ったことを記載します。
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新聞記事の第1面。見出しは、“医師のストライキがエスカレートしている”
もともと、ドイツの大学病院の医師の待遇は比較的に優遇されていました。しかし、最近は経済状況が逼迫し、次第に給与の締め付けが行われこのストライキとなったものです。友人の話では、大学病院の医師には日本の国家公務員的な立場の医師と、各州が雇用している医師が存在します。前者にはストライキ権がありませんが、後者は医師労働組合に所属しストライキ権が認められています。そこで、後者の医師たちが現在ストライキを行っており、全国の大学病院に波及しているということです。
現実には、救急患者の手術は行われていますが、予定された手術はほとんど行われていないようです。私が参加した今回の学会でドイツの学会会長の挨拶では、このストライキにより大学での適切な患者さんの医療処置ができず、病院の収益は減少し、患者さんの大学病院に対する信頼感の喪失という事態を引き起こしているということです。給与引き上げを要求する医師労働組合の姿勢は強硬で、このストライキは6月のワールドカップサッカーの時期までも終わらないだろうといっています。
一方、一般市民や患者の受け取り方についての報道もあります。
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上に示したのは、被害を蒙っている患者の意見を収録した別の新聞記事です。予定された椎間板手術を2回延期されたり、骨折で受診し数時間以上対応を待たされた患者さんなどの意見が取り上げてあります。その見出しは、“でも、このストライキは正当なものと思う”となっています。これらの患者さんたちすべてではないにしても、ストライキを行っている医師たちに好意的であり、ストライキによる被害に耐え忍んでいるようです。
上記の記事を見たり、友人のドイツ人の医師の話を聞いて、私なりにいろいろ思うことがあります。まず、ドイツでは毎日といっていいほど新聞の第1面に掲載されている社会現象として重要な記事がなぜ日本には報道されていないかということを疑問に感じました。あえていうなら、日本ではこの件に関して一種の報道管制があるのではないかということです。
次に、このストライキに対して患者さんを含め一般の市民がかなり寛容な態度を示していることです。おそらく日本で医師のストライキが生じた場合、一般市民はこのような寛容な態度を示さないでしょう。これには、これまでの社会システムの成り立ちに大いに関係していると考えます。日本では、明治維新以来、教育とか医療とかお上から与えられるものでした。この感覚は日本に今でも残っています。しかし、ヨーロッパでは一般市民が下から盛り上げて築き上げてきた経過があります。そのため、大学病院の医療にしろ一般の医療にしろ、市民はその内容をよく報道され理解しているように見受けられます。
日本でも、現在病院勤務医の労働環境はきわめて悪化しており、ある程度以上経験をつんだ勤務医が次々と病院をやめてプライベートのクリニックを開業し、地域医療に必要な病院の医師不足のひとつの原因になっています。まだ医療問題にはいろいろありますが、日本ではそのような報道が一般市民によく伝わっていないように思われます。医師ストライキに対してドイツ市民が理解し、寛容な態度を示していることに、日本との大きな差を感じました。