令和4年3月11日: 東日本大震災トリアージ訴訟を掲載
個数の処理と確率の計算における,場合の数の数え方の違い
あるくじ引きで,1本の大当たりくじと2本の小当たりくじ,そして7本のはずれくじがあるとしよう。このくじ引きを1本ひいて当たる確率を,
を信じて次のように計算してもいいだろうか?
全ての場合の数 … 大当たり・小当たり・はずれの3通り。 当たりの場合の数… 大当たり・小当たりの2通り。 よって …(×) |
もちろんこれは間違いで,本当の答は である。大当たり,小当たりを合わせて当たりは3本,それに対してはずれは7本だからである。しかしくじを1本ひいたときの出かたは確かに3通りであるし,当たりは確かに2通りである。本数の違いで説明したいかも知れない。しかし「個数の処理」の計算では,確かに同じものは区別しないで計算したはずではないか。このギャップをどうやって説明しようか?
そこで確率の神様に登場してもらう。人間には同じものに見えるはずの小当たり2本も,はずれくじ7本も,確率の神様ならなんでもお見通しで,ちゃんと区別していて別々に数えているはずだ。今,大当たりを◎で,小当たりを○で,はずれを×で表すと,
人間が見ると… ◎○○×××××××と見えて,○同士,×同士の区別がつかない 神様が見ると… ◎○1○2×1 ×2 ×3×4×5×6 ×7と見えて,全てを区別している |
というわけである。
すると確率の神様による場合の数の計算では,○1と○2は添え数字がついているから別物であり,×1〜×7も同様に別物だと考えて,
全ての場合の数 … ◎ ○1 ○2×1×2×3 ×4×5×6×7 の10通り。 当たりの場合の数… ◎○1○2 の3通り。 よって …(○) |
と,正しく計算されるわけである。
このような単純な確率ならば,誰でも無意識に正答できるが,玉の種類が多くなったときなどには,
個数の処理→ 同じに見えるものは同じもの。
確率の計算→ 同じに見えるものでも,個体が違えば別のもの。添え数字をふって考える。 |
という原則に注意をしてもらいたい。