谷直樹弁護士の謬論 (医療問題弁護団問題~5~)

 谷直樹弁護士は、医療問題弁護団の副幹事長であり*、またご本人のブログでは医療訴訟の報道などを取り上げて、医療側に対して比較的厳しい眼でコメントを付けられる弁護士です。

 ある日、その谷直樹弁護士のブログで、酸素を体内に送るチューブを誤って食道に入れられ植物状態になったという事故のことが取り上げられました。そのブログ記事の中で谷直樹弁護士が、「酸素を体内に送るチューブを誤って食道に入れたことは,注意義務違反にあたります.」と述べたので、私はツイッターで以下のように書きました。

気づくのが遅かったとしたらその点は別だが、「酸素を体内に送るチューブを誤って食道に入れたことは,注意義務違反にあたります」とは、直ちには言えないと思うがね…
挿入後の確認を普通行うべきところを怠ったというならそれは別ですが、誤挿入だけで注意義務違反だという人は、準委任契約の基本を理解していないのではないか、弁護士能力として如何なものかと疑います。

 そうしたら、これを見たのであろう谷直樹弁護士は、ご自分のブログに追記をしました。その中で一番のキモの部分は以下の一文と考えます。

チューブを挿入するとき注意して正しい場所に入れるという義務があるはずです.

 この一文は、谷直樹弁護士の医療に対する理解の浅さを物語っていると思います。医療行為が準委任契約であり、100%の成功を保証するものではない以上、上記の追記は必ずしも正しいとは言えず、より正確には「チューブを挿入するとき、正しい場所に入れるように注意する義務がある」と捉えるべきです。実際問題として、正しい場所に入れるように注意していても、正しい場所に入らない場合があるというのが現実です。弁護士業務が、勝訴確実と思われる例ばかりを受任したとしても、実際には百戦百勝とはなかなか行かないのと同様に、医療行為も百発百中とは行かないものであることを、谷直樹弁護士は知るべきです。しかも谷直樹弁護士は、医療訴訟の分野では百戦錬磨の弁護士であるはずですから、そのような弁護士が上記のような基本的事項についての認識が浅いのであるとすれば、そちらの方が問題だと思います。医療問題弁護団に所属しそれを標榜する弁護士が、谷直樹弁護士が追記で示したような認識を依頼人に示した上で医療訴訟の受任をし、その結果敗訴をするようなことがあれば、それこそ弁護過誤と言えるのではないかと思います。

 谷直樹弁護士は、私のツイッターでの主張に対して、バッサリと「謬論」などと評していますが、どちらが謬論なのかと小一時間問い詰めたいところです。

 谷直樹弁護士ブログの当該記事はこちら、それをめぐる私などのツイッターでの発言はこちらにありますのでご参照ください。

* 平成24年4月11日現在、谷直樹弁護士サイトによる。

平成24年4月11日記す。

谷直樹弁護士受任事例: 開業医時間外診療拒否訴訟素人も削ってみたけれども、悪いのは歯医者です
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